10月31日 贈りたい本

気温が下がると共に空気が澄んでいくこの頃は、星々の輝きが増したことに気づきます。ページを開けばその空を見上げたような心地を思い起こす「ほしが ねむる ところ」

この本は、2004年に生まれた赤ちゃんに贈る本として、フランスのグルノーブル市の依頼により制作されました。冬季オリンピックも開催されたことのあるこの町は、冬は雪に覆われ一面銀世界の美しい風景が広がります。そんな町の冬景色を感じる白いページは、温かみのある手触りで、生成り色をしています。そこに散りばめられた銀箔の星たち。星は夜は空高く瞬き、日中は消えてしまったように感じますが夜にはまた、空に輝きます。”星”の字は、”日が生まれる”と書きます。毎日毎日生まれてくる。作者の駒形は、日々生まれてくる新たな命と、毎晩現れる、つまり生まれる星のイメージが重なったことで、星をテーマに据えました。またある朝多摩川の側を歩いている時に、朝日が川面に反射しきらきらと、光が集まって休んでいるように見え、星は消えてしまうのではなく昼間は休んでいるように感じ「ほしが ねむる ところ」は制作されました。

触れるたびに優しい気持ちを思い出します。
ONE STROKE 大坪