10月3日 順調に回復

振り返ればもう1年以上が経過する。昨夏に急性リンパ性白血病が発覚し、即入院。2月の骨髄移植まで計5回の抗がん剤治療を受けた。正直きつかった。特に移植前には致死量の数倍の強さの抗がん剤がカラダに入ってきて、さすがにカラダが悲鳴を上げた。体内は焼けただれ、粘膜障害は、口内、食道、胃、腸、大腸とすべての消化器官にあらわれ、水一滴すらも飲めずにいた。栄養はすべて点滴で摂取、同時に鎮痛作用のモルフィネが、毎日一定量、24時間かけて投与された。それでも喉の痛みは収まらず、ある日試しに水を少しだけ、ゴクンと飲んでみた。一瞬激痛が走ったが、以来、水が飲めるようになり、少しずつ食べられるようにもなった。口から食べられるようになったことで回復力もつき、予定より1ヶ月前の4月4日に退院することができた。

退院してからもまだまだ不調はつづき、体力も激減してしまったため、歩くことすらおぼつかなかったが、3ヶ月過ぎたあたりから、仕事へも少しずつ復帰することができ、今は、5ヶ月続けられた免疫抑制治療を終え、それまであった食事制限も解除。ナマモノ、アルコール類もOKとなり順調に回復している。しかし油断は禁物。まだ免疫力が低く雑菌やウイルスに感染しやすく、特に肺炎には要注意。先日も38度を超える発熱があり、救急で病院に駆け込み、抗生剤と解熱剤とでなんとか乗り切った。抗がん剤の後遺症は、足のしびれを残し、免疫機能はまだ安定したとは言えず、体中の発疹にはいまだに苦しめられている。とは言うものの、入院時には余命2ヶ月と言われた身。進行が早い病気のため、もしもそのまま放置していたのなら、きっと海外の街のどこかで倒れていただろう。この10月に還暦を迎えることになる。60年前、宿命として授かった命は、50代で尽きてしまったかもしれないが、運命として貰った命にチャンスが与えられた。まだまだ生きる希望があるかぎり精一杯生きていく。そして仕事にも。


8月3日 板橋区立美術館での講演

9月26日 長野県小海小学校でのワークショップ