3月20日夜汽車


パリから夜行列車に乗りボローニャへ。ところが出発時間が1時間遅れることになり、ベルシー駅構内はすでにたくさんのヒトでごった返し。まぁこの種のハプニングはよくあることで、以前にもスイスへ向かう途中、車両故障が起き、小さな駅で3時間ほど待たされたこともあった。また時には駅構内をダッシュで移動しなければならなくなり、というのも出発ホームは大抵30分ほど前に掲示ボードに表示されるのだが、出発直前の表示で、しかもホームが遠かったりすると、それこそ荷物を引きずりながらのダッシュになる。列車ダイヤが完璧なまでに作られ、1分の遅れもない日本のシステムとは大違い。のんきと言えばのんき。しかしなんとか間に合った時は、とても安堵した気持ちになり、乗れたことが「ありがたい」と思えてくるから不思議なものだ。車内にはヒト一人がやっと通れる通路があり、部屋ごとに6つの小さなベッドがある。同室にはフランス人の中年夫婦2人と、青年と、イタリア人の女性とベトナム人の青年。フランス人夫婦は何度も利用しているようで、手慣れた感じで私たちの荷物の収納やベッドづくりを手伝ってくれた。私のベッドは左列の中段。体を横滑りさせながらベッドに上がると、そこにはヒト一人がやっと寝られる小さなスペースがあり、そして頭を持ち上げると上のベッドにつかえ背中を丸めていなければならず、あとはもう寝るしかない。途中トイレに起きるも、およそ10時間の旅はひたすら寝るだけだった。汽車は予定より2時間遅れて早朝のボローニャに到着した。正直あまりよく眠れなかったかも。頭のスイッチがたえずONの状態で、いろいろなことがよぎり、そして振り返ることができ、むしろボローニャでの受賞を前に初心に還るいい時間になったように思う。明日はシチリアーニ少年院でのワークショップ。多忙なボローニャでの日々がいよいよ始まる。