11月4日 リヨン


リヨンの朝、ホテルで朝食をすませ部屋に戻ると、つい最近パリからリヨンに引越したばかりのジャンヴィエーブから電話があり、リヨンを案内したいと言ってきた。そこでコルビジェが建築した「La Tourette」に行けたらと相談をすると「Possible」との答え。いろいろ調べてみると言ってくれた。

リヨン駅からSNCFの汽車に乗り30分、L'Arbresle駅に降りてずっと坂道を歩くこと30分。かなり息も上がってきたが目的の建物の外観がやっと見えてきた。コンクリートの肌がそのまま剥き出しになり、妙な形の突起物がいくつか飛び出している。あいにく修復工事中ではあったが、建物の一部の教会に入ると、そこには極限まで簡素化された空間がひろがり、そして少しの隙間からの外光が、赤や緑、黄色などに塗られたコンクリートの一部に反射して、それらが光の色となってとても幻想的だ。

どうしてこんな空間が考えられたんだろうと、自分なりに想像してみた。おそらく建物の中の空間が先にイメージされ、それを再現する上で、外光を取り入れる部分が、そのまま突起物のように外観に現れたのではないだろうか。つまり教会の機能を最大限にイメージに抽出した結果、生まれるべくして生まれた空間。そんな感じがした。来年2月には修復工事が終わり、80人の僧侶が戻ってくると言う。是非また訪れたいものだ。